健康面からの菜食のススメ
  1. たんぱく質について
  2. 乳製品排除のススメ
  3. 骨粗鬆症の原因は牛乳・乳製品だった
  4. 肉食と動脈硬化
  5. 現代人が飽食病になる理由
  6. 肉を食べると元気になるという常識のウソ
  7. 医学界の重鎮たちも肉食の害を指摘!
  8. ガンと肉食
  9. 菜食を実践して勝利を得たアスリートたち


たんぱく質についてステーキ肉
菜食主義について話をすると

「それではたんぱく質はどこから摂取すればいいのですか?」

「子どもにはたんぱく質を与えないと、筋肉がつきません。子どもが大きくなれません。」


という反応や声を耳にします。
人々がそう反応するのは、幼いころそのように教わったからです。

「たんぱく質」と聞いて果物や野菜を連想する人はいません。
誰もがたんぱく質に関連して思い浮かべるのは、牛です。なぜでしょうか?

食肉業界は年間数百万ドルを使って、人々が「たんぱく質」と聞けば即座に肉を連想するように仕掛けたのです。その結果、菜食主義ですら、肉を食べなければたんぱく質が不足するのではないかと心配しているほどです。

私たち現代人は、たんぱく質を摂らなければ力が出ない、たんぱく質が不足すると死んでしまうという思いに取りつかれています。そして、人々がもっとも良質なたんぱく源だと信じ込んでいるのが牛肉なのです。
ところが牛や豚、鶏などの肉を食べたところで、私たちの体の中で効率よくたんぱく質になるわけではありません。
それらの動物性たんぱく質をアミノ酸にまで分解して、それをヒトのたんぱく質に合成しなければならないのです。
問題は、肉を加熱調理すると、たんぱく質が変性してアミノ酸が壊れてしまうことです。
その結果、いくらステーキを食べても肝心のアミノ酸は摂取できないことになります。
にわかには信じられないかもしれませんが、

バナナの方がステーキよりもたんぱく源としてすぐれています。

バナナには人体に必要な良質のたんぱく質がそのまま含まれているからです。
バナナの方がステーキよりもたんぱく源としてすぐれている朝食に果物を食べ、それ以外の食事で生野菜を食べれば、充分な量のアミノ酸を摂取できますから、たんぱく質不足には絶対になりません。
現代人は動物性たんぱく質をとらなければならないと思い込まされていますから、レタスからたんぱく質を摂取するなどというのは突飛な発想のように思えるでしょう。しかし、土の中から芽を出して成長するものの中には、必ずアミノ酸が含まれているのです。

たんぱく質は誇大に宣伝されているため、現代人はたんぱく質不足にならないよう動物の肉を食べなければいけないと思うように教育されています。
肉食業界は年間2500万ドルを売上げ、しかもつねに前年比アップを目論んでいます。そのために「肉をたんぱく源にする」という考え方を世間に広めているのです。
私たちはみな、がんや心臓病で死んだり、糖尿病や関節炎を患ったり、肥満のために不健康な状態で生活したりするようなことは、誰も望んでいません。しかし、それに加えて高血圧で悩んでいる人たちが全米で6000万人もいます。これらの病気すべてが肉食の習慣と深い関わりがあるのです。

現代人はたんぱく質不足を心配するのではなく、むしろ、
たんぱく質の過剰摂取による害を心配すべきなのです。

がんや心臓病は偶然にかかるわけではありません。体質が原因で肥満するわけでもありません。
本当の原因は、日頃の生活習慣にあります。健康になるには、身体が必要としているものを与えればいいのです。多くの科学的研究によって、肉食の習慣が致命的であることが判明しています。
(参考文献:Discover出版「ナチュラルダイエット/ハーヴィー・ダイアモンド著」)
乳製品排除のススメ
ヒトが牛乳を飲むとどうなるか?
ヒトが牛乳を飲むとどうなるか?ほとんどの人は

「牛乳を飲まなければ、どこからカルシウムを摂取するのですか?」

と反論するはずです。
では、牛はどこからカルシウムを摂取しているのでしょう?

牛はいったん離乳したら草を食べて、その中に含まれているカルシウムを摂取しています。
つまり、草が牛のカルシウム源なのです。

牛乳はあくまでも仔牛のための食料です。
仔牛は生まれたときの体重が約40キロですが、わずか2年後には1トンぐらいにまで成長します。
人間は生まれたときの体重がわずか3キロほどで、18年ほどかけて40キロから80キロぐらいになります。
つまり私たちが牛乳・乳製品を摂取するとき、急速に体が大きくなる食料を摂取していることになります。
みなさんは牛のように大きくなりたいですか?

「私はヨーグルトを食べてダイエットをしています」という人がいますが、これほど矛盾した考え方はありません。
ヨーグルトは牛乳と同じように太りやすい食品だからです。

乳製品の害悪牛乳・乳製品が健康維持・増進に不可欠だと思い込んで毎日のように摂取すると、体質によっては呼吸器系に粘液がたまって、呼吸がスムーズにできなくなるおそれがあります。
中耳炎になる子どもは牛乳・乳製品を多く摂取していますし、赤ちゃんの頃は粉ミルクで育っているはずです。これはいままでセミナーで数万人の親に質問をした結果です。

乳というのは哺乳動物が赤ちゃんを育てるための食料です。
この地球上で一生涯にわたって(高齢者になっても)乳を飲みつづけるのは人間だけです。
牛乳・乳製品は私たちの体内で濃い粘液を発生させます。それが鼻炎の原因にもなります。



骨粗しょう症の原因は牛乳・乳製品だった

私たちは「牛乳を飲まなければ骨が弱くなって満足に歩けなくなりますよ」というメーカーのおどし文句をよく耳にしました。
ここで事実を指摘しましょう。

多くの高齢者が骨粗しょう症を患っている原因は、牛乳・乳製品の摂取なのです。

どの科学的研究をとっても、牛乳・乳製品が骨粗しょう症を引き起こすと示しています。
牛乳・乳製品には動物性たんぱく質が多く含まれています。
ところが、動物性たんぱく質は強酸性であり、人体は弱アルカリ性を保つために骨のカルシウムを使って中和しようとするのです。
したがって、牛乳・乳製品のように動物性たんぱく質が多く含まれる食品を摂取すればするほど、骨から多くのカルシウムが失われることになります。(肉についても同様のことがいえます。)

中国健康プロジェクトでわかったことのひとつに、中国には骨粗しょう症が存在しない、ということがありました。
あったとしても、それは極めて稀です。
実際、中国語には【骨粗鬆症】に相当する単語がありません。
中国人は牛乳・乳製品を嫌います。はきけをもよおすような味がするというのです。

世界中で骨粗しょう症の発症率がもっとも高いのは肉食・乳製品の摂取の最も多いアメリカです。
次いでイギリス、スウェーデン、フィンランドとつづきます。
牛乳・乳製品の摂取量が最も少ないアジアとアフリカの諸国では、骨粗しょう症がほとんど存在しません。

私たちはカルシウムをとらなければ骨がスカスカになるから、牛乳・乳製品を摂取しなければならないと思い込んでいますが、年間何十億ドルもの莫大な利益を生み出す巨大産業が、人々に牛乳・乳製品を摂取するようコマーシャルを使って呼びかけて利益を確保しようとしてきたからです。
植物が成長する条件のひとつは、カルシウムです。
植物は土の中からカルシウムを吸い上げて成長するからです。
果物と野菜を充分に食べていれば、カルシウムが不足することはありません。


(参考文献:Discover出版「ナナチュラルダイエット―あなたの常識をくつがえす3つの習慣ハーヴィー・ダイアモンド著」)


肉食と動脈硬化
現代人の最大の死因
動脈硬化を起こした血管

動脈硬化とは全身の動脈の内側の壁が厚くなって中が詰まることです。
その結果、心臓に血液が送られなければ心臓発作、脳に血液が送られなければ脳卒中を起こし、いずれも死にいたるおそれがあります。

アメリカ国内の統計によると、これらの心血管系疾患による死者数は他の全ての病気による死者数よりも多いのが現状です。がんや糖尿病、エイズなどすべての病気による死者数を合わせてはじめて、心血管系疾患による年間100万人の死者数にようやく近づきます。肉食の多いアメリカ国内では35秒に一人が心血管系疾患で命を落としています。(1日あたり2500人)


コレステロール
心血管系疾患を招く原因はコレステロールと脂肪です。
コレステロールは宇宙でたったひとつの場所に由来します。動物です。
具体的には、肉・魚・卵・牛乳・乳製品などの動物性食品を指します。
コレステロールは動物の肝臓と細胞で作られるのです。
肝臓がなければコレステロールは生産されません。人間には肝臓があります。
私たちの体は毎日1000〜1500ミリグラムのコレステロールを作り出しています。
しかし、自分の身体以外からコレステロールを摂取すると、問題が発生します。
食物(肉・魚・卵・牛乳・乳製品などの動物性食品)から摂取したコレステロールは、私たちの体に有害ですらあります。

私たちが摂取する脂肪の約9割は動物性食品によるものです。したがって、私たちが摂取している有害なコレステロールはすべて動物性食品に由来し、また私たちが摂取している脂肪の約9割は動物性食品に由来することになります。
現代人にとって、もっとも恐ろしい死因は、脂肪とコレステロールが原因となって起こる心臓発作です。現代人は動物性食品を摂取しすぎているのです。


現代の間違った治療法

高脂血症治療薬を飲んでコレステロール値を下げるという発想は、合理的ではありません。
たとえば自宅の鴨居が低すぎるために、いつも頭をぶつけて痛い目に合っているとしましょう。
頭をぶつけるたびに、痛み止めの薬を飲んで痛みを感じないようにするのがただしいでしょうか。
痛み止めを飲むより、鴨居を高くしたほうが合理的であることは明らかです。
現代人の動脈には過剰な量の脂肪とコレステロールが流れていて、それが血管壁に沈着し、血流の阻んでいるのです。
動物性の食事を避けて、脂肪とコレステロールの摂取を控えれば、一気に問題は解決されます。


現代人が飽食病になる理由

飽食病(diseases of affluence)で代表的なのは
心臓病・がん・糖尿病・骨粗鬆症・肥満の5つです。
飽食病は先進国に蔓延しているいっぽう、中国にはほとんど存在しません。

・中国人は動物性食品からたんぱく質の7%を摂取している。
・アメリカ人は動物性食品からたんぱく質の70%を摂取している。

アメリカ人は中国人に比べて、動物性食品に依存する割合が10倍も高い。
そして、多くのアメリカ人は肥満していて、さまざまな病気を患い、骨が折れやすい。
それに対し、中国ではこういう情況になっていません。

キャンベル博士は
「たんぱく質の80〜90%は植物性食品から摂取するようにし、動物性食品からの摂取は10〜20%に抑えるよう生活改善をする必要がある。動物性食品を重視せずに、量を控えることが望ましい。」と言っています。

私たちの2〜3世代前の人たちも肉を食べることもありましたが、今ほど頻繁ではありませんでした。ところが現代では朝/昼/夜と1日3回、肉・魚・乳製品・牛乳などから死没とコレステロールを摂取しています。昔では考えられなかったことです。
中国研究プロジェクトでの研究成果は生活改善によって飽食病を回避できることをはっきりとしめしています。
マクガバンレポート.

1975年、アメリカ合衆国では、心臓病の死亡率が一位で、がん は二位でした。
膨大な医療費のためアメリカ経済をおびやかしてきました。
7年間の歳月と数千万ドルの国費を投入して原因を追究したところ、「諸々の慢性病は、肉食中心の誤った食生活が原因」という、5000ページに及ぶ膨大な報告が発表されました。
この報告書を、委員長のジョージ・S・マクガバン上院 議員の名前をとって、「マクガバンレポート」と呼びました。


医学界の重鎮たちも肉食の害を指摘!

肉だけに含まれている栄養素というのは存在しない。
肉に含まれている栄養素は、
他の食品からも摂取できる。

              ポール・トーマス
※ポール・トーマス博士:
全米科学アカデミー出版「生きるために食べる(Eat fo life)」という本の編集者の一人。


人々は、動物性食品がもっとも良質のたんぱく源だと思い込まされているために、植物にこそ良質のたんぱく質が含まれている事を知らない。

土の中から成長するものはすべて、たんぱく質を含んでいるのである。

              ウィリアム・コナリー
※ウィリアム・コナリー博士:オレゴン健康科学カレッジ栄養学部 学部長。


私たちは肉食の習慣を当然のことのように思い、
日常的に肉を食べているが、
人間は本来、肉食には適していない。

人間が動物を殺して食べるという食生活を続けると、
最後には動物が人間を殺す結果になる。

動物の肉は人間が食べるためのものではない。
人間は本来、植物を食べるようにできているのである。

             ウィリアム・ロバーツ
※ウィリアム・ロバーツ博士:医学博士。米ジョージタウン大学医学部教授。
国立衛生研究所 心臓病学主任。
また、アメリカ心臓学ジャーナルの編集主幹を務める医学界の重鎮。
(The American Journal of Cardiology)
(参考文献:Discover出版「ナチュラルダイエット/ハーヴィー・ダイアモンド著」)

欧米ではベジタリアン(菜食主義者)は一つの健康法として定着し、肉食民族とも言える彼らは、近年肉食の害を思い知らされ、国を挙げて、動物性脂肪を減らすように努力している。
しかしながら、残念なことに、日本においては菜食主義は市民権を得ていない。栄養学者も栄養士も、十分な菜食主義の知識なしに、菜食は低蛋白をもたらしたりして危険であると考えているらしい。
 日本においても、動物性食品過剰による生活習慣病の増加が大きな問題となっている。日本人の食生活の歴史を見ても、つい近年まで、菜食に近い食生活であった。
低脂肪、高繊維、高ビタミン、高ミネラル食 これはほとんど、あらゆる疾病の予防に益がある。どうか、実際に作ってみていただきたい。実践者には、自分の健康状態が向上していくことが感じられるはずである。                       
(水上 治  医学博士 米国公衆衛生学博士 東京衛生病院医師  日本健生協会理事)