●千島喜久男の「赤血球分化説・可逆分化説」と ケルブランの「原子転換説」
千島博士の「赤血球分化説」並びに「可逆分化説」は、物理学者・ケルブランの「原子転換説」と非常によく似たメカニズムをしています。 千島学説の根底を流れる哲学は、一種の「逆戻り理論」を基軸に、自然やそこに生息する生命は総て輪廻の輪の如く、循環しつつ、それが波動と螺旋(らせん)的な動きをして、変化するということを定義にしています。 また一方で、西洋の科学思想の中には「エントロピー増大の法則」(energie/ クラウジウスが命名した熱力学上の概念)と言うのがあり、可逆変化なら、エントロピーは一定で、不可逆変化では必ず増大するという「熱力学第二法則」です。 この法則は、エントロピーの増加分と定義する概念で、熱は高いところから低いところに移動し、やがて平衡状態になり、均質になるという熱平衡の概念です。 自然界は万物総てが、複雑から単純へ、無秩序から秩序へ、差別から平等へ、不均質から均質へ、時間の経過とともに移行していきます。 この事から、宇宙の利用できるエネルギーは、同じように時間の経過とともに減少し、やがては宇宙全体が冷たくなると考えられています。そのため、時間は一方方向に向かい、決して逆戻りしない、と言うのが法則の根底にあり、自然科学はこうした考え方を基礎に据えています。一種の「死の法則」という事になります。 ところが実際に自然界を考えますと、この法則が当てはまらない現象が起こっています。進化という現象は、この法則が当てはまりません。 西洋科学の生んだ「エントロピー増大の法則」は、自然界の側面を支配するもう一方の法則であり、これはいわば「死の法則」というべきものです。 それに対して東洋では、輪廻転生に見られるような「再生」という哲学思想があり、死んでは生まれるという法則があり、自然界は「生と死が一つになっている」という「生命発展の法則」があります。 まさにこの「生命発展の法則」に、千島学説はその基盤が窺えるのです。 人間は健康で体調の良好な時は、赤血球から総ての体細胞や生殖細胞への分化が可能となり、発展を続けます。いわゆる太り続ける、豊かな状態です。 ところが栄養不良になったり、病気になったり、大量な失血があったり、食を絶って断食を行いますと、躰は痩せ細ってきます。 こうした現象を現代医学では、脂肪や筋肉が消耗するからだと定義づけているようですが、千島学説はその実験結果から、この「躰が痩せ細る現象」を、「細胞が逆分化して血球に戻る」という学説を立てました。これが「赤血球逆分化説」です。 これは「断食をする」という結果からも窺えます。 断食を行いますと、まず、体質が変わり、若返り現象が起こります。 また断食をしなくとも、節食や少食を実行しますと、やはり断食と同じように、顔色や肌の色が若々しくなっていきます。これは体細胞や生殖細胞が血球に戻ったということを証明するものです。 現代栄養学は何でも沢山食べて、栄養分を取れば取るほど健康になり、躰も丈夫になると定義していますが、東洋思想に立脚する『食養道』では、「腹八分に医者要らず」という諺(ことわざ)からも窺えるように、減食し、多少空腹の状態の方が、健康状態は良好である、と定義します。 この事から、千島学説を考えると、減食生活と、食べ物を穀物菜食にして食生活の改善を行うと、細胞が血球に逆分化して、血液を浄化し、これまでの体質が変わって、病気の人でも、健康体が取り戻せるという理論的裏付けが証明されています。 例えば、肝臓病に人が、肝臓に蓄積された老廃物や有害物質を取り除く場合、食の改善を行いつつ、少食あるいは断食にして、肝細胞から血球を逆分化するということを試みますと、細胞から血球が逆分化して遊離し、次に血液中に入り、尿として排泄されます。 こうした事を試みますと、一時的に肝臓機能は一層低下したような状態に陥りますが、こうした中で節食、あるいは断食を続けますと、時間と共に肝臓機能は恢復(かいふく)し、健康な人の肝臓と同じ様な状態を取り戻すことができます。 その他、筋肉や各種内臓の細胞も同様であり、節食、あるいは断食を続けますと血球に逆分化して、組織の大掃除がなされ、若返りが始まります。こうした行いを、日本では古くから「禊」(みそぎ/身に罪または穢れのある時や、重大な神事などに従う前には、川や海で身を洗い清めること。大祓の詞として有名)を言ってきました。 こうした東洋哲学の思想は、一方で「再生」を催し、千島学説の「赤血球分化説・可逆分化説」の再生理論は、ケルブランの「原子転換説」と非常によく似ています。

●赤血球母細胞は腸壁で発見された!
森下敬一医学博士はその著書『浄血』(時事通信社)の中で、「赤血球母細胞は腸の壁で発見されたことが『腸造血説』のキメ手になった」と述べています。 赤血球母細胞はその名の通り、赤血球を生み出す母親の細胞であり、この大型の細胞が腸の壁の「腸絨毛組織」だけに存在することが実験によって確認できたのです。 この様子は顕微鏡写真に収められ、食べ物が赤血球母細胞に変化し、発展していく総てのプロセスが記録され、赤血球母細胞から赤血球が生み出され、血流に送り出されていく事実が確認されたのです。 これは間違いなく、血液は腸で造られているという、「造血のメカニズム」が確認できたのです。 ところがあえて、「血液は骨髄で出来ているという説」を掲げるのは何故なのでしょうか。 骨髄とは骨中の腔所をみたす柔軟組織のことです。 『骨髄造血説』によりますと、「赤色髄は造血組織の中枢を成し、赤血球・白血球・血小板などがここで形成され、黄色髄は脂肪組織から成る」とあります。 そして造血幹細胞を取り上げ、「赤血球・白血球・血小板などの血球(血液細胞)のもとになる細胞と定義し、骨髄や造血組織に存在する多能性幹細胞が骨髄系やリンパ系の幹細胞に分化し、さらに諸種の血球に分化する」としています。 これによりますと、造血の場が「腸」ではなく、「骨髄」と定義され、「赤血球新生のメカニズム」を頭から否定しています。これは何故なのでしょうか。 ある程度の科学知識を持つ人であれば、誰が考えて見ても造血は腸でなされているということが、容易に分かるはずなのですが、これをあえて否定し、誤った理論に学識経験者の正統性をつけて、これを否が応でも認めさせるという意図が隠れています。 動物の「からだ」というのは、下等なものから高等なものまで、三つの基本的要素によって構築されています。これは人間といえども例外はありません。 基本的な三要素は、まず「体細胞」と「消化器官」と「血球」の三つです。 これを更にプロセス順に註釈しますと、
その第一、人間は食べ物を摂らないと生きていけない。
その第二、その食べ物は消化器官で消化される。
その第三、それがやがて体細胞を作り上げる。
その第四、消化器官で消化された食べ物と体細胞への移行過程において、これをつなぐ細胞として「遊走性をもった血球」の存在がある。
以上に従いますと、血液が作られる場所は消化器官以外において、他にはありません。 それなのにあえて、現代医学や現代栄養学、更には生物学までが『骨髄造血説』をとっているのです。そしてこの考え方で医療を見た場合、根本的に間違っているばかりでなく、本来の生体における生理機能の本質もつかめませんし、病気対策も立てられないことになります。 そして現状は、この『骨髄造血説』が障害となって、医学面や健康面において、医療は間違った形で展開されているという現実があります。 しかしこれに警鐘を鳴らす医学者は圧倒的に少ないというのが実情です。

●浄血の原理
血液の役割は、一般的に酸素や炭酸ガスを運搬することであると考えられています。しかしこれは単なる補足事項で、本当の役割は別にあります。 それは赤血球自体が全身を巡り、体内の総ての細胞へと変化していくことなのです。 つまり血液は体細胞へと発展します。これを「血球の分化」といいます。 そしてこれまでの医学常識をくつがえして、「白血球は、赤血球から新生される」という研究が確認されているのです。 さて、ここで白血球の新生過程を述べて見ましょう。 この新生過程はその時々の条件によって異なりますが、これは大きく分けて三つあります。 その第一は、「発芽方式」といわれるもので、赤血球の核の表面に小さな突起部が発生し、それが膨らんで、ついには赤血球膜を破って飛び出し、これが白血球になります。 その第二は、「流出方式」といわれるもので、赤血球膜が破れて細胞質が流れ出し、それが白血球へと発展します。 その第三は、「分割方式」といわれるもので、赤血球自体が適当な大きさに千切れて、各々の断片が白血球になっていきます。 この三つのケースは、いずれも赤血球が白血球に変化することを証明しています。 一般に信じられている医学常識では、白血球というのは病原菌が侵入した場合、それを食べてしまうという働きがあると信じられています。 しかしこれは断片的な結果のみを、短絡的につなぎ合わせたもので、白血球の本当の働きはもっと別のところにあります。 ところが、今日の現代医学の常識では、白血球(leukocyte)を血球の一つと定義し、その種類に無色・有核の細胞で、リンパ球・単球・顆粒白血球などを上げ、赤血球よりやや大きいが、数ははるかに少なく、人の血液1立方ミリメートル中に5000〜7000個が存在するとしています。 また血液中だけでなく、他の諸組織の中にも移動し、単球や顆粒球はアメーバ運動を行い、細菌や異物を細胞内に取り入れて殺し、消化する食作用をもち、リンパ球は免疫抗体の産生、免疫機能の調節にあずかり、更には、高等脊椎動物では骨髄が主な白血球産生の場である」と定義しているのです。 しかし、白血球が体細胞へと変化するとは一言も述べられていません。 もし白血球が体細胞へと変化しないのであるならば、これまで東洋医学でいわれた「肉体は食の化身である」という真理が崩れてしまうことになります。 また多くの先学者達が、白血球は、筋肉や軟骨、上皮、腺、骨などの各組織に変化していく発展段階の証明を幾度も確認し、「白血球は分化能力を持っている細胞である」と認めながら、その結論として「赤血球は白血球を新生して体細胞へと変化する」という事実を確認しています。 しかしこれを論ずると、医学者として嘲笑されるという現実があります。これは何故でしょうか。 したがってこうした事実を確認しながらも、これをあえて否定せず、黙認して、沈黙を保っている医学者も少なくありません。 特に大学病院などの大病院に医局として勤務している、助教授や講師、助手や無給医たちは『腸造血説』を掲げた場合、この白い巨塔で出世の見込みはないとされています。 そして今日に至っても、こうした封建制度は医療の場で根強く生き残っています。 あなたはこの裏側に、政治的な匂いのする陰謀を感じ取ることは出来ないでしょうか。 日本医師会という集団は、医者の先生方の職業集団と一般には思われています。 この団体は1906年医師法の成立とともに「大日本医師会」が発足し、47年に日本医学会をも傘下に入れた任意加盟の「社団法人・日本医師会」が誕生しました。 しかしこの団体は、医師の職業団体の仮面を持ちながら、一方で厚生労働省に圧力をかける政治的な駆け引きを行う仮面をも持っているのです。 多くの庶民は、人民の施されるべきはずの「平等な医療」が、資本主義の差別思考に振り回され、こうした圧力団体の生贄(いけにえ)にされているという現実も忘れてはなりません。
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