早く肉をやめないか?
狂牛病と台所革命


P20
なにが「安心の食卓」なのだろう?


狂牛病への対応には二通りある。
「あきらめて腹をくくる」
「かからない道を選ぶ」
の二つ。

前者はケセラセラ派とでも言うべきか。
安いので今がチャンス、どんどんお食べなさい、というしかない。

読者の方には、やはりベスト、あるいはベターな道を選んで欲しい。
ベターな道は、まずリスキーなものをやめる。
牛肉や牛関係の加工品。洋菓子に使われるゼラチンも牛骨髄が原料。
チョコレートも牛血液で着色したものがある。(P172 チョコレートにも牛の血液が!)
市販のカレールウ。原材料表示に「牛脂」とある。ラーメン屋のラーメンを牛骨をダシに使っている。

ベストの道はベジタリアンに徹すること。これならまったく安心だ。
正しい食生活は肉食ではなく、菜食である。
狂牛病に汚染されていなくても、肉食が危険であることは周知のとおりである。
この狂牛病ショックを、ふだんの食生活を見直すきっかけにしてほしい。

P25 牛もヒトも脳がスポンジに…
まず、物忘れなど、よくありがちな異常。
さらに、なんともいえぬ頭痛に悩まされる。
歩行困難で足がよろめきはじめる。
そして幻覚……。

体の筋肉は麻痺し、発作やときおりのけいれん。
痴呆症状が進んでいく。
思考力が鈍り、自分が誰かもわからなくなる。
立ち上がれず、話す事も、見ることも出来ない。
食べ物を口にすることも出来ず、衰弱し、肺炎を引き起こすか、または飢餓に陥り、やせ細って、ゆっくりと死んでいく。
この悪魔の病に魅入られた人間に例外はない。亡骸を解剖した医者は息を呑んで立ち尽くすしかない。
患者の脳はブツブツ孔(あな)だらけの“スポンジ"と化していたからだ。


P174
牛乳は大丈夫か?


痴呆の一種、ヤコブ病にかかった女性の母乳をマウスに注射したら、このマウスはヤコブ病と思われる症状に陥った(東京新聞96/4/24)
狂牛病にかかりやすいのは圧倒的にホルスンタイン種が多い。大量の牛乳を生産するために草食の牛に肉や肉骨粉などの動物性飼料を与えられているからだ。その乳牛からしぼった乳も、プリオン汚染されている。

プリオンタンパク質

高熱炉の中でも死なない、異常プリオン(P26)

遺伝子がないのに自己増殖し、進化し、変異を遂げる。さらに戦慄することに、不死身。ホルマリン液に浸しても、長期間冷凍しても、手術器具を減菌する高圧熱蒸気噴射でも死なない。。
激烈な放射線照射でも生きのび、360℃以上の高熱炉で焼き尽くし、黒こげの灰となっても死なない。

脳破壊はとどまらず、脳全体は虫に食い荒らされるように侵蝕されていく。
死滅した脳細胞があった箇所には、空洞が取り残され、スポンジ状に見えることから

脳はやがて半分以下に縮み、患者は急速に進行していく痴呆状態の意識の混濁の中で確実に死を迎える。

それは、牛肉と牛の加工品(ゼラチン、医薬品、化粧品など)に存在する。


P76 人にも感染する
事実を認めたイギリス政府


「牛肉を食べることで、狂牛病が人間に感染する可能性がある」
ついに1996年3月20日、イギリス保健省のS・ドレル大臣は下院議会で事実を認めた。
彼は「イギリス国内のヤコブ病患者10人の発病原因は狂牛病の肉を食べたからだ」と発表。
牛肉の売上げは激減。半値で投売りするスーパーも出てきた。
パニックは、ヨーロッパ全土に広がり、EUはイギリスからの「輸入禁止」を、それまでの牛肉だけから、牛原料の加工品にまで拡大した。
ゼラチン、牛脂製品、キャンディ、クッキー、口紅、咳止め…までが禁止項目に加えられた。
一見牛肉とは無関係のようなものにまで牛の成分が含まれることに驚く。
さらに、イギリス政府は牛27万5千頭を処分した。


P77
豚にも感染している


牛も、他の動物も、ヒトも、脳がスポンジ化して死んでいく。
「これはクールーだ」と、ノーベル賞学者ガイデュシェックは断言する。
「クールー以外のなにものでもないよ。どんな動物にも感染する。乳牛、肉牛、豚、ニワトリにもね。その危険性をきちんと認識して、現実的な対策をとる必要がある。
どうして豚が発病しないのか、というと、豚を7年も8年も生かしておくかい?
よくて2〜3年で殺してしまうだろう」
彼は絶句するような事実を明らかにする。
「我々の実験室では、病原体を接種した豚を8年間飼育しておいた。
みんなスクレイピーを発病したよ。イギリスの豚は全部感染しているんじゃないか」


P81
21世紀に被害は世界で爆発する

「ハンバーガー、毎日食べているけどナントモないもん」
なるほど、そうだろう。プリオン汚染された牛肉を食べた子供や若者も、しばらくはまったくなんともない。潜伏期間は、短くても4〜5年、ふつうは10年だ。
専門家は言う、「食べて10年間はほとんどなんともないだろう。10年から数十年後に突然発病するのだ。忘れた頃に突然、脳を侵しはじめる。」

アジアの市民運動家マーチン・コー氏は「1980年代後半に感染した人々は、21世紀にかけてようやく発病するであろう」と予測している。

イギリス政府の狂牛病対策委員会のJ・パティソン議長は「ヒトの狂牛病は、累計では数十万人になる」と発言。さらに、エイズ流行と同じぐらいの規模になることもありうると認めている。


地球環境を守る運動の合言葉は【チェンジ】である。
個人も社会も、スタイルを変えなければ生き残れない。
エネルギー問題、金融問題、さらには医療、農業、建築まで、20世紀の古い衣を脱ぎ捨ててかわらなければ生き残れない。
そのようなパラダイム・シフト(価値転換)の真っ只中に、我々は生きている。
この潮流の中で、普段の食生活を見直す重大な行動を、私は【台所革命】と呼ぶ。
昔ながらのおふくろの味、さらに精進料理などは、日本が世界に誇るベジタリアン料理なのだということを、提案していきたい。

参考資料:早く肉をやめないか?―狂牛病と台所革命
狂牛病と台所革命 船瀬俊介著


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